ミトコンドリア膜透過性遷孔(mitochondrial permeability transition pore : mPTP)

ミトコンドリアに存在する非特異的チャネル。1)ミトコンドリア外膜のVDAC(voltage dependent anion channel)、2)ミトコンドリア内膜のANT(Adenine Nucleotide Translocase)、3)ミトコンドリアマトリックス内のCypD(シクロフィリンD)、で構成される。直径約3 nM、最大1.5kDaまでの物質がこのチャネルを通過する。

mPRPはミトコンドリアのCa2+過負荷や酸化ストレスといった病理的条件下で形成されることが知られており、ミトコンドリアからの大量のCa2+やアポトーシス促進タンパク質の放出を引き起こす。

mPTPによるミトコンドリアへの透過性亢進は、浸透圧によって水を内部へ引き込む。この現象によって、ミトコンドリアが膨張し、外膜の崩壊によりシトクロムcおよび他のアポトーシス促進タンパク質を放出しアポトーシスを引き起こす。同時にmPTPの形成は、負に帯電した正常ミトコンドリアを脱分極する。結果、ATP合成が阻害されネクローシス(壊死)を引き起こす。これらの2つの細胞死はミトコンドリアへの傷害の程度によって調節されている。

近年、ネクローシスとネクローシスといった形態学的な細胞死の分類から、メカニズムによって分類する流れが主流となっている。MPT-driven necrosisは新しく定義された壊死性の調節された細胞死であり、CypDが重要な役割を担っていることが報告されおり、今もなお研究されている。

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